プリティ清原
プロ野球の清原和博選手がまだ現役で活躍していた頃、
巨人軍の中軸打者としてなかなか結果を出せない清原選手に、
テリー伊藤さんが次のような提案をしていた。
これから清原選手は「プリティ清原」という名で
試合に出ればよいのである。
清原選手が巨人でなかなか活躍できないのは
ファンの期待にこたえようという思いが強すぎて
体が硬直してしまうからである。
だから、この問題を解決するために
「プリティ清原」として試合に出るのである。
その心は、次のようなものである。
テリー伊藤さんも若い頃は、人前に出たり、人から期待を寄せられたりしたときは
非常に緊張してしまう性質だったらしい。
ところが、「テリー伊藤」と名乗るようになってからは、
不思議なことに、「テリー伊藤さん」と呼ばれても、
どこかで自分のことではないような感覚が生まれたそうだ。
つまり、ある程度自分を客観的に見られるようになったということだと思う。
それ以降、若い頃のような緊張の仕方をすることはなくなったらしい。
そういうわけで、
同じような問題で悩んでいると思われる清原さんに、
清原和博ではない名で試合に出ることを提案したのだろう。
おそらくテリーさんは、半分冗談でこのような話をしたのだと思うが、
清原さん以上に緊張のことで悩みを抱えていた私は、かなり真剣にこの話を受け取った。
それは、こんな大昔の話を今でもはっきり覚えていることからも分かる。
緊張は、今でも私にとって大きな問題である。
だからと言って、明日から「プリティたお」と名乗るわけにもいかない。
まだまだ考え続けなければならない。