天上天下唯我独尊
仏教の生みの親である お釈迦様は、
生まれてすぐに7歩あるかれて、
右手で天を、左手で地を指されて、
「天上天下唯我独尊」
と言われた、
という伝説が残っています。
この伝説に対して、
仏教に携わっている人からも
「お釈迦様が このようなことを
おっしゃるわけがないのではないか」
というふうに 疑問が呈されているのを聞いたことがあります。
確かに、
お釈迦様が言われた
「天上天下唯我独尊」が、
「この広い世界の中で、私だけが偉いんだ」
ということだけを言っているのだとすると、
この伝説から、
お釈迦様が 常人離れした 圧倒的な能力の持ち主であることは分かったとしても、
一方で、はたして お釈迦様は、
私のような普通の人間の気持ちなど 理解してくださるだろうか、
というふうに、少し不安な気持ちになってしまいます。
しかし、お釈迦様の意図は、本当に
「この広い世界の中で、私だけが偉いんだ」
だけにあったのでしょうか。
私は そうではないと思います。
お釈迦様が言いたかったのは、
「いくら世界が広いといっても、
私の代わりが務まる人など存在しません。
あなたの代わりができる人も存在しません。
そういう意味では、
私も、あなたも、
かけがえのない、唯一無二の存在であるということができるでしょう」
ということだったのではないでしょうか。
また、
お釈迦様は、決して、その人の良い面だけに目を向けて、
その人が尊いとおっしゃっていたのではないと思います。
良い面と悪い面の両方を兼ね備えているからこそ、
かけがえのない、唯一無二の存在と言えるのではないでしょうか。
ですから、
たとえ 不器用であっても、
たとえ 明日に希望が持てなくても、
その 苦しんでいることも含めて、
私たちには絶対的な価値があるのです。
だとすると、
私たちも、
お釈迦様を見習って、
7歩あるいて、
右手で天を、左手で地を指し、
「天上天下唯我独尊」
と言ってもよいのではないでしょうか。
(さすがに ここまで言うと、不謹慎になるでしょうか。
気分を害されたかたがいらっしゃったら、申し訳ございません)