「フランダースの犬」を追憶する
↑は、テレビアニメ「フランダースの犬」のエンディング曲です。
私は、このアニメを10年以上前に見たのだと思うが、
今でも時々思い出すことがある。
それほど、このアニメのラストは私にとって衝撃的だったのだ。
「フランダースの犬」は、
少年「ネロ」とその愛犬「パトラッシュ」の物語である。
ネロとパトラッシュは、
物語の最初から、とにかく人々からひどいあつかいを受け続ける。
しかも、それらは、本人の性質に起因するものではなく、
確か、差別とか偏見によるものであったと思うから
たまらない。
それでも、ネロとパトラッシュは、
人々や運命に怒りをぶつけるでもなく、
好きな絵を心の癒やしとして、前を向いて生き続ける。
当時、私は、この物語に対する予備知識がまったくなかったので、
おそらく最後には、人々はネロの健気さに気付き、ハッピーエンドを
迎えるのだろうと思っていた。
エンディング曲もハッピーエンドを思い起こさせるような明るさがあるし、
何より、物語とは、正しい行いはいつか報われることを表すものだと思っていたのである。
ところが、ネロとパトラッシュは、
何も報われることなく悲しい結末を迎えてしまう。
私は、あまりの救いのなさにぼう然とした。
ただ涙が止めどなく流れた。
だからこの世に宗教があるのだろうかとパッとひらめいたりもした。
そこに、このエンディング曲が流れるのだ。
まるで何事もなかったかのように。。
私は、最終回はエンディング曲がなかったほうがよかったのではないかと今でも思うが、
もし、制作者がこの落差まで意図してエンディング曲を流したのだとすれば、
それはそれですごいことだと思う。